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日々の想い Vol.37

The way he looks vol.37




こんにちは、塩沼亮潤です。


山での修行の日々を振り返ると、「つらい、くるしい」ということは日常ですが、そんなことでは涙はでませんでした。


今でも雨音を聞いていると思い出されるのですが、修行中、雨の日に水滴が私の網笠にポーンポーンと落ちてくると、その音がまるで「がんばれ、がんばれ」という声に聞こえてきて、「そうか、雨も自分を励ましてくれているんだ」と涙したものです。


その涙も雨も、長い年月を経て川をつたって海に行き、お天道様に照らされ水蒸気になって、また雨となって自分のもとへ降ってくる…そんな壮大な大自然の循環に気づいた瞬間に、「あぁ、生かされているんだな」と、感謝の気持ちが湧き上がってきました。


そして雨風にさらされ山を一心不乱に歩きながら、人生というのはあまりアクセルを踏みすぎても駄目、立ち止まっても駄目。周りに気を配りながら前に向かって淡々と一歩一歩進んでいくのが一番いいんだな、という人生の歩き方を学びとっていきました。


それから経験を重ね、56歳の今。大自然の厳しさの中で得られた気づきと、自分の人生の歩みとがリンクすることも多く、当時からわかってはいたものの、改めて深く感じています。


若い頃はエネルギーが多いので、肩に力が入って「今日より明日!」とガツガツ前へ進もうとします。もちろんそんな時期も必要なのですが、歳を重ねた今は、段々とエネルギーの配分が上手になって、今日できることを精一杯。という、すこし力の抜けた世界にようやくたどり着けた気がいたします。


どんな環境にあっても、あるがままに自然に生きていくことが一番大事なんだなぁと、歳を重ねるごとに実感をもってそう思えるようになりました。





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