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日々の想い Vol.34

The way he looks vol.34




こんにちは、塩沼亮潤です。


若い頃から、お師匠さんや周りのおじさんたちから色々なことを教わってきました。その中のひとつに、こんな言葉があります。


「有名無力、無名有力」


有名になって名声が高まってくると、だんだんと力を失ってしまう。無名のほうが力があるものだ、という意味の言葉です。若い頃は「そうなんだ」くらいにしか思っていませんでしたが、歳を重ねるにつれ、その意味が実感をともなってわかるようになってきました。


つい先日、お世話になっているお医者さんが、「自分は名医にはなりたくない」とおっしゃいました。世間一般に“名医”とされる方が、一体なぜ?と意外に感じてしまいましたが、「有名になると、会合、会議、会食ばかりになってしまい、患者さんと向き合えなくなってしまう。自分は“名医”ではなく、“いいお医者さん”でありたいんです」というお話をお聞きして、先の言葉を思い出し、とても腑に落ちました。


私も“いいお坊さん”であるために、原点を忘れず、謙虚で素直で面倒なことをも厭わない自分でありたいと、改めて強く思います。


慈眼寺に参拝された方からよく、「この慈眼寺の空気は何なんでしょうか?」と質問されることがあります。ここだけ周りとの空気が違っているそうなのです。


慈眼寺では、参拝者の皆さまに見ていただく参道の庭だけでなく、普段は誰も通らないような建物の脇道までせっせと掃除しています。むしろ、誰も見ない場所から綺麗にするように職員全員で心がけています。


おそらく、他の人からすれば無駄にも思えるような、こうした見えない手間ひまをかけているからこそ、「ここは良い気ですね」というイメージや印象として皆さまへ伝わっているのだと思います。


皆さんも、今の自分の置かれている立ち位置ばかりを見つめるのではなく、初心を大切に持ちながら、より面倒臭いほう、より良いほうへとご自身を導いていってみませんか。




1 Comment


恵里香 森山
Jun 29

すごい方でいらっしゃるのに、いつも謙虚でいらっしゃる大阿闍梨様を大変尊敬致します。一昨年の秋にお寺にお詣りさせていただいたときも、境内の清められた、それでいてドングリの丘やベンチなどが置かれていて、遊び心とおもてなしのお気遣いが溢れる、清々しい雰囲気にすっかり魅了されました。今も思い出します。来年は参詣させていただけそうなので、また楽しみに致しております。

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